忠犬ハチ公

待ち合わせ場所と言ったらハチ公を思い浮かべる。飼い主が亡くなった後も何年間も駅で飼い主を待ち続けているうちに魔法をかけられて石になったらしい。まったく可哀想な犬である。

今でこそ携帯電話で、いつでも連絡が取れる状態だから待ち合わせに苦労することもないし多少遅れても連絡をすぐにいれることができる。僕が一人で友達と待ち合わせをするようになった時にはもう携帯電話が普及していたし、それがなかった時代の待ち合わせなんて考えたこともなかった。

なのに、この前待ち合わせしている奴とまったく連絡が付かなかった。約束を何もなしに破るような奴じゃない!ハチ公のような気持ちで待ち合わせ場所で待っていることにした。来るか分からない奴を待ち続けるなんて、未来の待ち合わせの像だな。ガハハ。落書きされるのは嫌だな。なんて思いながら、約束の時間は少し回ってたけど他にやることもなかったので携帯弄りながら待っていた。

そんな時に、女の子二人組に声をかけられた。まったく東京の女ってのは男に飢えすぎて、逆ナンもするのか!ふしだらな奴らだぜ!なんて思いながらちょっとはワクワクしたので、できる限りのイケメンボイスで「はい、なんでしょう」って応えた。

そしたら「すいません、写真とりたいんですけど・・・。」なるほど、ストリートジャック的なね。この記事書くときにストリートジャック調べたら休刊になっててびっくりした。)まったく洒落っ気のない僕にそんなこと頼むなんて時代も変わったな。令和ってすげえな。令和万歳!これで世界デビューだ!

「・・・そこどいてもらえませんか。」なるほど、そうきたか。魔法で最初からある石像にしてくれと願うも届かず、結局さっきとは裏腹のクソキモヲタボイスで「ウイッス...」といいながら小走りで逃げた。一体なにと写真が撮りたいっていうんだ!後ろを振り返るとスパイダーマンがさっきまで僕がいたところでぶら下がっていた。うーんアメイジング

そんなスパイダーマン ホームカミング見てみようかな。なんて思ってたらその近くの映画館の出口から「すまん。」って謝りながら友達が出てきた。「わりぃ、スパイダーマン見てたわ」

もうスパイダーマンには懲り懲りだ